はつゆきさくらの素晴らしさを語りたい(微ネタバレ)
・主人公が素晴らしい!
主人公の河野初雪ですが、正直中々の曲者です。
ツッパってるし、性格も口も悪いし、暴力的な上に復讐云々が常につきまとう暗い人物なんですよ。
どう考えても万人に受けるような素敵超人の主人公タイプではありません。実際初雪がどうしても受け入れられなくてこのゲームを途中で投げた人もいるのではないでしょうか?
そんな彼ですが、私は大好きです。
物語の行く先にどうしても復讐というテーマがある以上、あまり明るい主人公だと多分そのメッセージがどうしても軽く映ってしまいますし、かといってハードボイルド極まった重厚な人物像だと多分物語は始まりもしなかったでしょう。
だって、これは未熟ながら一生懸命ツッパろうとする少年が、大人へ一歩踏み出すためにそれから卒業する物語ですから、仮に初雪が成熟していたらこの物語は淡々と計画を実行に移すために奮闘する復讐劇になったでしょうね。(もしくは最初から復讐なんて考えていないかーこの場合そもそもゲームとして成立しませんが…)
重要なのは初雪が未熟さ故にためらい続けているところなんですよ。
自分と自分の大切な存在のために復讐は絶対成し遂げなければならないけど、どこかで人の暖かさを求めてしまい、何もかもを保留のまま終わらない冬に立ち止まっている、これが河野初雪という少年なんです。
そんな立ち止まっているからこそ不安定な彼がいろんな少女と出会い、どのように変化していくのか、これを見守っていくとと本当楽しいですよ。
・季節とテーマのアンサンブルが素晴らしい!
はつゆきさくらの背景は基本冬です。
私はこの物語の根幹をなしている「復讐」「卒業」というテーマはとても冬とよくマッチするものだと思っています。
卒業は言わずもがなですが、復讐も冬が良いと考えているのは理由がありまして、アリとキリギリスという話あるじゃないですか。あれってものすごく雑に言うと気に食わないキリギリスにアリが復讐する話ですよね?
…まあそんな捻くれた見方をせずとも、あれはキリギリスがそれまでの季節に行ったことの報いを受ける物語なんですよね。それって復讐と本質的には一緒で、それまで行ってきたことの報いを受ける季節こそが冬なんだと思うんです。
ここまで書くと冬はそれまでの報いを受けるだけの季節に思えますが、もちろんそんなことはなくて、冬の次には必ず春が来ます。はつゆきさくらで言うと「さくら」の部分ですね。
冬の季節にそれまでの報いを受けても人はそこで終わりません。その報いがいかに辛くて泣きそうでも、時は無情に流れていきますし、人は悲しみから「卒業」して新しい季節に立ち向かわなければならないんです。
はつゆきさくらは、まさにそういう物語でした。どこかビターな味がする終わり方であってもそれが決して後味の悪さにつながらなかったのは物語のテーマを上手く生かしていた巧みな舞台設定のおかげでしょう。
・音楽が素晴らしすぎる!
はつゆきさくら OP ムービー (2012 サガプラネッツ、主題歌:fripSide・歌:fripSide、ムービー:Iris motion graphics)
わざわざ私みたいな門外漢が語るまでもない事実だと思いますが、このゲーム、音楽が素晴らしいんですよ。
特にOPのhesitation snowですが、オープニングの映像と歌詞のマッチ具合が半端ではない!多々偶然(&思い込みこじつけ)も混ざっておりますが、流れてくる歌詞の全てがまさにオープニングで出てくるその場面のことを歌っているようで、もう何度も見て惚れ惚れしました。
そもそもタイトルが「ためらう雪」なんですよ!?こんなぴったりなタイトルつけますかね普通。いやー何度噛み締めても味のするタイトルですよこれは。
特に好きなのはこの辺ですかね
「壊れてゆく思いの果ていつかの夢を捨てるよ、正解のない選択肢しか僕に残されていないなら」
なんて良い歌詞なんだ…(感嘆)
誰の視点で見るかによってもまた印象が変わってくるんですよね。初雪からみた「夢」さくらから見た「夢」綾から見た「夢」…それぞれの思いが詰まっていて、もうお腹いっぱいです。
あと伝説の字余りソング、メリーゴーランドをぶっ壊せも最初聞いたときこそポカーンでしたけど、聞けば聞くほど良いスルメ曲ですね…
歌詞はこの物語の構図そのものを表しているやら何やら色々想像しましたけど、多分ただの深読みだと思います笑
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…展開の素晴らしさとか、浪人というキャラの素晴らしさとか、色々語り足りない気もしますが、一旦気力が尽きましたのでここで一旦卒業させてください…