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はるまで、くるる。 しっかり紹介・レビュー

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同じシリーズ(直接的繋がりはなし)はこちら!

 

 

作品紹介

概要

作品名:はるまで、くるる。

メーカー:すみっこソフト

キャラクターデザイン:笹井さじ、師走ほりお

シナリオ:渡辺僚一

ジャンル:侵蝕世界学園伝綺アドベンチャー

総プレイ時間:20時間程

公式サイト:http://www.sumikko-soft.com/harukuru/index.html 

 

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あらすじ

とある事情。

とはいっても、それがどういう事情によるものなのかは、俺にも説明不可能なんだけど……。
とにかく俺は4人の女の子達と人里離れた場所で長い春休みを過ごすことになってしまった。
どれだけ人里離れているかというと、まずコンビニなんかは当然ない。
携帯だってないし、やけに性能のいいノートパソコンは山のようにあるけど、ネット環境はない。
そこにあるのは、温泉宿みたいな大きな寮舎と、廃校寸前っぽい校舎。
休み中の田んぼと、実った冬野菜が並ぶ畑。
遠くに見えるのは雪を頂いた青い山脈と、綺麗に澄んだ海。
……そして、空の果てまで続く、見たことのないほど高い、用途不明の煙突。

ファンタジックな出来事も、SFちっくな出来事も、ミステリーみたいな出来事もなく、
それなりにいろいろありながらも俺は4人の女の子と平穏な毎日を
過ごしていたつもりだったが、それは大きな間違いだった。
女の子の1人。無茶なことをしがちな静夏が、唐突に言ったのだ。

「ここをこの男のハーレムにするわ!」

ハーレムって言ったら、あの……その……。ええええっ?!
いったいハーレムが何を意味するのか、俺は服を脱ぎ始めた静夏に教えられることになって……。

 引用元:http://www.sumikko-soft.com/harukuru/story.html

 

ひとことで言うと

ハチャメチャ、不穏、狂気、絶望、そして感動

全部を取り揃えたよくばりセット

 

注目ポイント

テンポ良しギャグ良しの笑えるテキスト

一癖も二癖もあるキャラクター

急転直下、目まぐるしく変わる展開

 

個人的レビュー(感想:最高の更に上!)※微ネタバレ

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総評

それは春の日のような、甘くて果てのみえない、悪夢と終末のハーレム

文句なしの傑作。何度やっても色褪せない魅力がありますね。

季節くるシリーズ(はるくる、なつくる、あきくる、ふゆくる(21年10月発売予定))はそれぞれ大好きですし、違う魅力がありますが、やはり1作目のこのはるくるは別格な気がします。全部大好きなんですけどね。

以下、各ルート別の感想です。

 

プロローグ

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最序盤、静夏から放たれるいきなりのハーレム宣言、からのハーレム展開。

とんでもないパンチの強さですよね、ゲームスタート直後にこれですから、付いて来れない人はとことん振り落とす、という覚悟を感じます。

後でわかったのですが、プロローグだけで全HCGの65%を処理しているんですよ、量・密度共に楽しい抜きゲーのそれなので、逆に笑えます。

 

もちろんただ馬鹿騒ぎしてHして終わるだけではなく、ところどころ不穏な要素(壊れている一季!?、春海の秘密、冬音の離人感、煙突の正体、開かずの扉等)も、さも「当然のように」出てきます。

そうなんです、当然のように不穏な要素が処理されていくんですよ、このプロローグ。

それも仕方ないのが、プロローグは皆との出会いから描いているわけではなく、すでに出会いから一定期間過ぎたところから始まっているんです。なのでそれに至るまでにあったであろうイベントをごっそり飛ばしているんですよ。

これ、この後続く物語への興味を抱かせる方法として中々秀逸ですよね。私なんかはこの後の春海ルートで、プロローグにあった要素が出てくる度になぜか嬉しくなっちゃってました笑

 

そんなこんなでプロローグも終盤、春休みが終わりを迎えて、春海ルートへ向かうわけですが…その直前、とんでもなく謎・不穏が凝縮された展開が挟まれるんですよ。

全プレイヤーが「!?」ってなったあの展開から始まる、雰囲気満点のOP。

いや~やられました。振り返ってみると、エンディングまで休まずにやりきったのはここの展開ありきだったのかも知れません。

 

春海ルート

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初めてのルート(ルート順強制)に相応しい話でした。

こちらはちゃんと初対面から描いているので、お互いの馴れ初めに笑ったり、プロローグで!?となっていた要素を確認したり、またプロローグだけだと掴みきれなかった各キャラクターの深い個性を掴めました。

静夏が思ってたよりもエキセントリックな性格であることとか、あんなハーレム展開を成し遂げたくらいなのを考えるととても冷たく感じる皆の態度・関係性だとか、新鮮な刺激がいくつもありましたね。

 

そんな春海ルートですが、何よりも中心になるのはプロローグでも少し言及されていた、春海が持っている「ある衝動」です。これが中々衝撃的で、明らかになった時なんか急に真顔になっちゃいましたよ笑

それからは一季と春海による、衝動にどう向き合っていくかがメインになるのですが、これがかなり狂気的でですね、一季の持つ、「壊れている」という側面が際立ってましたね。壊れているからこその解決法というか…

 

個人的にこのルートで印象に残っているのは何も知らなければ平穏だったかも知れない、しかし辛くても本当のことを知りたかった、知れて良かったというやり取りでした。このテーマはこれから始まる物語全体にも通じるものですので、余計に印象深いですね。

 

秋桜ルート

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名探偵秋桜爆誕

春海ルートで片鱗は見せていたものの、これまでは常識人で、やや頑固ながらも雰囲気に流されちゃう委員長ポジだった秋桜でしたが、このルートでまさかのINT大爆発、真の魅力を見せてくれました。

このルートでは序盤からいきなりとんでもない事件が起きて、それが物語の軸になります。確かに不穏な展開はいくつもあったけど結局はみんな最高!となっていた中での打事件ですから、そこからクローズドサークルもの特有の閉塞感、疑心暗鬼がじわじわと首を絞めてくるんですよね。

そんな中で真実に向き合う決心をして、捜査を始める秋桜はかっこよかったですね~

 

摩訶不思議な事件の真相はなんなのか?犯人は誰なのか?この世界にある秘密とは一体なにか?

少しずつ手がかりを集め、真相の一端にたどり着いた時の興奮、そしてそこから始まる衝撃は今思い出しても震えます。

真相の一部を知った後、劇中では不慮の事故によりそれ以上調べることができなくなってしまいますが、確実に次に繋がる何かはこのルートで始まりましたね。

 

冬音ルート

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切ない純愛物語、から最狂の展開へ。

これまで色んな意味でトリックスターだった冬音ですが、妹キャラとして魅力を爆発させてます。それにルート序盤では全身ネタバレキャラも出て来るのですが、このキャラも非常に可愛くてね、ひたすらに愛でる展開でしたね。

秋桜ルートでは匂わしていた真相、その鍵を握る冬音としての一面はルート後半で本格的になりますが、それまではなんならこれまでで最も平和なルートでしたね、これ。

 

後半、諸々の秘密が明らかになって、素直になる冬音と一季の変わらぬ関係性は素敵でした。果てしない絶望が待ち受けているのは明らかなのにそれでもこれまで通り笑って、馬鹿騒ぎする、切ないけれど尊い愛でした。

しかしそこからの展開はもう、どうあがいても絶望そのもので…

はるまで、くるる。ーSpring has come true?ーというタイトルがこれほどまでに恐ろしく感じるとは、ゲームを始める時は夢にも思ってませんでした。

プロローグ、春海ルート、秋桜ルート、冬音ルート全てで重ねて来た全てが崩れ落ちて、世界も、自分自身も狂っていくあの感覚、初見プレイ時のあの絶望をもう一度味わってみたいです(狂気)

 

静夏ルート

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エキセントリック静夏、ここに極まれり!

冬音ルートの絶望から地続きのルートですね、終わらない春、狂っていく世界で本当に壊れてしまった一季と、いつも以上のエキセントリックで正面からそれに向かっていく静夏という構図でした。

春海の感性でも、秋桜の理性でも、冬音の狂気でも立ち向かえなかったであろう果てしない絶望を、静夏はひたすらな強さで受け止めて、一季をもう一度立ち上がれるようにしてみせました。

そのきっかけとなったある要素は突飛過ぎて思わず笑っちゃいましたが、静夏ならそれもありか…と普通に思えちゃうくらい、これまでの静夏が強烈だったんですね笑

 

「元気でいなさい!!この約束だけは忘れないで!!忘れたら許さないんだから!!」

静夏ルートの最後、確かに少し希望は見えたものの、これからの一季に待ち受けるのは相変わらず果てしなくて、一人で受け止めるにはあまりにも苦しかった未来でした。

しかしそんな一季に静夏はまた会うその日まで絶対元気でいることを約束させます。一見自分勝手であまりにも残酷な約束ですが、プレイヤーも、一季もその言葉を受けて、ああ、もう少し頑張ってみようと思ったことでしょう。

作中でも言及されてましたが、聖女としての素質ってこういうことかなと感心しちゃいましたね。

 

エンディング

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静夏との約束を守り、新たな春を迎えるためひたすら努力した一季。

そんな彼と、壊れている彼のそばで足りない欠片を埋めてくれていた彼女たちが迎える結末。

ピクニックに出るまでの描写なんか希望と不安とワクワクでもうこっちもテンションがおかしなことになっていました。

最後のシーンはもう何度見ても良いですね…素直に泣いちゃいます。

Spring has come!! 

 

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最高の作品なので、まだプレイしてない方がいたらぜひ買ってください。

後悔はしないはずです!!